琴音さん劇場

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 「じゃあ、街がゾンビで……」 「ストップ」 「何よ?」 「そりゃ、こっちのセリフだ。前から思ってたけど、なにこれ?」 「多岐君の心を甦らせるプロジェクト」 「死んで無いし」 「でも、人の心を持ち合わせてないじゃない?」 「え、琴音さんにとって俺ってそう言う感じ?」  しっかり頷く琴音さん。 「だって、私ばっかりきゅんとさせられるもん」  は? 「私のポニーテール、褒めてくれた」  そうだっけ? 「私におやつくれた」  そんな事もあったかもしれない。 「プリント運ぶの、手伝ってくれた」  そりゃ、人としてそうする。 「一緒に帰ったとき、車道側歩いてくれた」  気にも留めていないですよ。 「私ばっかり、ずーっときゅんきゅんさせられてる」  琴音さんは片手を腰に当て、もう片方の手で俺の事をびしっと指さした。 「ずるい!!」  呆然としている俺に、ぐっと顔を近づけてくる琴音さん。  大きな瞳。上気して赤くなった頬。吐息の漏れる、ふっくらした唇。 「どうすれば、君をきゅんとさせられるのかしら……?」  ……そしてこんなセリフ。
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