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「痛てッ」
ぶつかられた方の悠也は痛かったらしく、小さく呻いていたけれど
ガシッとあたしの頭を片手で掴んで無理矢理振り向かせる。
「オレ、結構長い間我慢してたし、もう遠慮しないからな」
「な、なんのこと?」
「妄想に任せる」
「ちょっと!」
妄想って何!!それを言うなら想像でしょ!!
と、心の中で突っ込んでいると
悠也が頭を掴んでいた手を下ろして目の前に差し出してきた。
「行こうぜ」
「……うん」
素直にその手に自分の手を乗せる。
キュッと握られた手は少し汗ばんでしまいそうで緊張はしたけど
全くイヤじゃなかった。
「おばさんに報告する?」
「う…それはもうちょっと先にしとこうよ。
大騒ぎになりそうだし」
「それはそれで楽しそうだけど」
にしし、と悪戯っぽい笑みを浮かべた悠也と
手を繋いで肩を並べて2人。
昨日までとはだいぶ違う、あたし達の距離。
たった1日で、関係が変わるなんて不思議だけど
これがあたし達のベストポジションだ。
~Fin.~
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