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すると、悠也は靴を履きながら考える素振りを見せてから、「そんなには」と答えた。
……そ ん な に は ??
「そんなにされてるんだ」
なんだか急に悠也が遠い人に思えてきて、その痛みを堪えるようにぎゅっと下唇を噛んだ。
自分も靴を履きながら、なんでこんな何か黒いものが渦巻いたみたいな気持ちになってるんだろうと溜息が溢れる。
あたしは悠也のただの幼なじみで、それ以外の何者でもない。
たとえば。
あたしが悠也を好きになるとかありえないって!!
…………とずっと思っていたけれど。
あたし以外の誰かが、悠也の隣に並ぶことをマジメに考えたことがなかったんだ。
「おい」
俯いたままでいると、悠也の声が真上から降ってくる。
ん、真上??
見上げると、そこには少し不貞腐れたような悠也の顔。
こんなに見上げるほど、身長差、あったっけ。
なんで今まで気付かなかったんだろう?
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