18人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほんと鈍いよなお前は」
「何よ、悠也だって」
「オレが?何か?」
「……真木さんとか」
「あぁ、聞いてたんだろ?
だったらオレが断った理由も聞いてたよな?」
うぅ。
好きなヤツいるから、だった。
悠也は何も悪くなかった。
でもこう、形勢が不利な状況から逃れたいのだけど
許されない感じで、悔しい。
何よ、妬いてたんじゃないの?
唇を尖らせていると
「陽菜」
悠也が、柔らかくあたしの名前を呼んだ。
目線だけ上げると
ニッと微笑んでる悠也がいる。
「オレにはお前だけ」
ーーーーズルイ。
どうしてこういう時だけ、そんなオトコの顔して正直な気持ちを言うの。
こんな悠也、知らない。
そう思うのに、胸の高鳴りはどうしようもなく抑えられないほどになってる。
「……悠也の隣には、あたしだけだからね!」
真っ赤な顔をしてるのを自覚しながら、照れ隠しに
悠也の腕にドン、と肩ごとぶつかっていく。
最初のコメントを投稿しよう!