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「うーん……実を言うと、自分も分からないんだ。自分は縁さんに言われてついて行っただけ」
「そ、そうなんだ……」
「自分も……ここに来てまだ間もないんだ。まだ半年くらいかな?まだまだ下っ端なんだ」
意外だった。
確かに縁さんよりは新人っぽかったけど、見た目はすごく落ち着いているし、そんな感じはしない。
「朝十さん、一夜さんはいつからいるんですか?」
「あの双子もまだ1年くらい。縁さんが特殊能力を持ってる人のスカウトに力を入れ始めたのは本当に最近なんだ」
「へー……スカウトも何も、僕はただ連れてこられただけだけど」
「ま、まぁ……今回はかなりイレギュラーだったしね。だいたいは特殊能力犯罪の犯罪者側をスカウトしてるから、なかなか被害者を助けてそのまま連れていくことは無い」
ははっと龍暉は笑っているが
今さらっとすごいことを言った気がする。
(犯罪者側を……スカウト?)
「え?じゃあ……美桜ちゃんとかも?犯罪者?」
「あぁ、美桜様は違うよ。社長、美桜様、黒崎さんの3人はこの事務所の設立メンバーだから」
「ええええええ!?」
あんなに小さい女の子も設立メンバー!?
「まぁ、細かいことはおいおい知ってけばいいよ。正直自分もよくわからないこと多いし」
(本当にここにいてもいいんだろうか?)
ただ、黒崎さんがいてくれたら、僕は暴走しない。
しかも力のコントロールの修行もさせてくれる。
僕は……この力のことをもっと知るべきだ。
「それよりさ、その眼帯には慣れた?」
「あ、はい。だいぶ……これのおかげで買い物に行っても変な目で見られなかったですし」
ずっと山奥で過ごしてきたので必要なかったが、いざ街中で生活するとなると、やはり周りの目は気になる。
その事を伝えると神志名さんがすぐに用意してくれた。
「美少年の眼帯萌え~!!」
って朝十さんは騒いでたけど……萌って何だろう。
(あ……何かみんなの犯罪歴の話流れちゃった)
けど何か聞にくいし、この話はまたにしよう。
それに、犯罪者集団って言ったら失礼だけど
そうなら僕にぴったりだ。
僕だって立派な犯罪者。
たぶん、ここにいる誰よりも……。
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