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「ただいま戻りましたー」
「おかえりなさい」
出迎えてくれたのは神志名だった。
「今ちょうど、呼びに行こうと思っていた所だったんだよ。新しい調査依頼が来ていてね」
ピラっと1枚の紙を取り出した。
「とある場所が最近心霊スポットとして有名になっているんだけどね……そこで肝試しした子たちが何人か怪我をしてしまっていてね。しかもその原因が不明らしい」
「最近どんどんその怪我が重傷化してるみたいで、その原因を探してこいって依頼みたい」
美桜は神志名から紙を奪い、光に手渡した。
「みおとクロでいくけど……ポチも連れていこうと思って」
「え……僕もですか?」
正直まだ入って入社して3日目。
不安がないかというと嘘になる。
(というか、犬扱いに慣れてきたなぁ……)
「その程度の仕事なら美桜様が行く必要ないのでは?自分でも行けますよ!」
「だーめ!今イッチーは元々の長期任務に戻っちゃったし、ゆかりんは探偵の仕事にいってる。朝ちゃんはそれについて行っちゃったし、今たっつーと組める人がいないんだもん」
「俺は、美桜としか組まない」
黒崎が呟く。
「こんな小さな依頼にしゃちょー駆り出す訳にもいかないし!そしたら必然的にみおたちの出番!」
「わ、わかりました。今日はご飯を作って皆さんをお待ちしてます」
龍暉は項垂れる。
「せっかくだし、ポチの能力が使えるか実験してみよ!」
ニコッと笑う美桜。
その表情は、普通の少女と何ら変わらない。
特殊能力犯罪のスペシャリストになんか全く見えない。
「え?実験?」
「そう!実験!!」
(前言撤回。何か悪そうな笑顔に見えてきた)
「とりあえず!暗くなる前に行ってきて
そんなに遠い所でもないしさくっと終わらせてきて
」
パンッと神志名が手を叩く。
「はーいっ、じゃあポチ!15分後に玄関集合ね!」
「わ、わかりました」
光はちらっと黒崎を見る。
「はぁ……だりぃ」
面倒くさそうに部屋に戻った。
(まだ殆ど話したことないけど……あの人怖いんだよなぁ)
「あ、せめて準備手伝うよ!卯月さん行こう」
「準備って、いったい何の?」
「……とりあえず、防弾チョッキとか?」
身の危険しか感じない。
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