きみのとなり

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 目的地まで後五分というところで、大津くんの目が覚めた。  私に身を任せて眠っていたことに気づいても、特に動揺もしていないみたいだった。 「ごめん、全然わからなくて。頭起こしてくれてよかったのに」  前髪に、少しだけ寝癖がついている。 「大津くん、ぐっすり寝てたから」 「悪い。重かっただろ」 「ううん」  起こすのがかわいそうだと思ったのも事実だけど、本当はずっとこのままいたかったんだ。だって、私……。 「帰りは加藤がオレを枕にしていいからな」  絶対に冗談で言っているってわかってるのに。  それに、安眠とはほど遠いそんな枕、使う度胸もないくせに、私の心臓はいちいち反応するから面倒くさい。 「はい、じゃあそろそろ国立公園に着くから、降りる準備をするように」  白石先生のアナウンスが、一気に現実へ引き戻す。  私も大津くんも、何事もなかったように大きく伸びをした。
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