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ーーパチ。
……っ!
そう、こんな風に目が合った気がして春人は小さく笑ったんだ。
だけど今は笑わなかった。
ふいっと顔を逸らすと、仲間の元に戻っていく。
もう、あの時とは違うんだ。
私は心がきゅっと締めつけられた。
最後に何か話したかったな。
でも会ったら大好きの気持ちが溢れちゃう。
絶対に、好きだと伝えてしまう。このまま別れる方がいいんだろう。
「春人……」
ポツリと名前をつぶやくと、ガラガラと音を立てて教室のドアが空いた。
振り返る。
その瞬間目に映ったのは大好きな、大好きな彼だった。
「……っ」
「お前さっき俺の事、見てたろ?」
あの時と同じように言う彼。
「……変なこと言わないで」
私はもう泣きそうだった。
「じゃあ窓から誰見てたんだよ」
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