1章

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小型のタブレットで検索エンジンを立ち上げ、アニモの製造元のホームページにアクセスする。動かなくなったアニモを起こして、後頭部にある型番をホームページ右上の検索欄に打ち込む。旧型ということもあり、現在ではサポートを終了しているようだ。 「お前、壊れちゃったのか?」 アニモの頭部はもう発光していない。様子を見ようと腕を持ち上げ、前から後ろから確認してみても見える位置に損傷はなかった。 「ジュウガツ、サンジュウニチ、ゴゼンレイジヲ、オシラセシマス」 ちょうど日付が変わり、機械的な音声が流れた。 アラーム機能は正常に作動しているが、母の音声データだけが破損してしまったのだろうか。 確認する術がない俺は、アニモの細い腕から手を離した。 有償でロボットの修理を請け負う店へ持ち込めば、アニモは元通りになるかもしれない。しかしそれはこの年になって母の声がする家庭用ロボットが恋しいと言っていると同義だ。俺は断じてマザコンではない。 「いつか壊れるもんだしな、ロボットなんて」 だからアニモを壊してしまった俺は悪くない。誰に言うでもなく言い訳して、頭から毛布をかぶって無理やり目を閉じた。
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