10人が本棚に入れています
本棚に追加
就職の為、上京して早3年。
友人も恋人もできない僕は、寂しさの余り、禁断の儀式を今、実行しようとしている・・・。
路地裏の、怪しい店で購入した、妖精召喚キット。
~寂しがりやのあなたに、キュートな手乗り妖精が、癒しをあげちゃう!~
歌い文句にひかれて3万円(税込み)も、だしてしまった。
説明書には、新月の零時に、キットに入っている魔方陣が描かれた紙を広げて、その上に空のグラスを逆さに置く。
そして、次の呪文を唱えよとあった。
「ポーポポポポポ、ポーポポポ。
クーククククク、クーククク。 ゲルポーゲルポ。」
恥も外聞もなく唱えた。
果たして、10秒後・・・・・
まばゆい紫色の光が部屋中に満ちて、グラスがパーン!と割れた。
魔方陣の紙の上で、何かが蠢いている。
僕はずり落ちた眼鏡をあげながら、その物体へと近づいた。
「な・・・・・・っ!?」
そこには、15センチくらいの、一糸纏わぬ姿の中年のおっさんが佇んでいた。
ツルツルの頭からは、黄色いチューリップが一本生えている。
「初めまして。ご主人様。わたくし、モグ・ド・プチ・オッサンハッサンと申しますゲポ!」
「・・・。ごめんなさい。還って下さい。」
「それはできない相談ゲポ。一度召喚されると、戻れないゲポ~。」
「うがああああーっ!こ、これは、悪い夢だああああ~!!」
数ヵ月後・・・・
ちっさいおっさんは、裸エプロンという、ある意味バイオレンスなスタイルで、家事をしたり、
僕と一緒にRPGをしたりして、けっこう楽しい日々を過ごしている。
寂しさはなくなり、こんなのが召喚されて、生き地獄かと思ったが、今僕は、幸せだと思う。
最初のコメントを投稿しよう!