第一章 はじめまして

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第一章 はじめまして

 GWが終わりを迎えた五月半ば。  電車に揺られること、約二時間、わたしは目的の駅へと到着していた。  都会から離れたこの街は、駅が街の中心部となっているようで、それなりの人の密集度でごった返していた。  ――今日からわたしは、この街で暮らすのか。  そう思うと、ロケーションでも行っておこうかと思う気持ちもあるのだけれど、迷子になってこの場所に戻ってこれなくなってもいけない。  迎えに来てくれる人に、いきなり迷惑をかけてもいけないだろう。  珍しく……本当に珍しく、わたしが他人を慮る行動を取っているというのに……。 「…………こない」  かれこれ一時間、わたしは改札口の前の広場で呆然と立ち尽くしていた。あまり荷物を入れていないはずのリュックサックを背負っているのもしんどくなってきた。  もしかして、わたし、だまされた?  そんな単語が頭によぎった。  そもそも、おかしいと思っていたのだ。  まだ中学生のわたしを、居候させてくれる大人が本当にいるなんて。  たまたま家で見つけた、親戚の名前と電話番号、住所が書かれたノート。     
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