7話 裏切りと醜さ

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教室に残っていた最後の同級生が帰ると、教室内には僕と彼女しかいなかった。彼女は荷物を机に置いたまま僕の前に現れると、「今朝の話の続きをしよう」と言ってくる。 彼女の言葉を聞いた僕は静かにゆっくり深呼吸すると、決心したかのように彼女の顔を見つめ、事の詳細を話し始めた。 彼女は僕が話している最中、何も言わず静かに頷いていただけだった。だけど、よく見てみると彼女の目尻には小さな水滴が現れており、必死に涙を堪えているのが分かった。僕はそんな彼女の姿を見て、心が痛くなった。 僕はそんなことを思いながら話を終えると、彼女の顔を見れないせいか視線を自分の足元に移した。 話を終えてから数分が経った頃、彼女の鼻を啜る音が聞こえた。その後、彼女は深呼吸をすると、一呼吸おいて僕のことを呼んだ。 僕は恐る恐る頭を上げると、彼女の目元と鼻先が少し赤くなっていて、今にも泣きそうになっていた。彼女の顔を見ると僕はまた申し訳ない気持ちが現れ、また彼女から視線をずらそうとすると、彼女に「こっちを見て」と言ってきた。 僕は彼女の言う通りに視線を彼女に戻すが、何と声を掛けていいか分からず口ごもってしまった。
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