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僕は太陽の暑さから逃れられる影のある場所に移動し、静かに腰を下ろし、また空を見上げる。
「なぜ僕は生きているんだろう。」
「それは生きる目的があるからよ。」
自然と口から出た言葉に返すように声が聞こえた。声のする方へ顔を向けると屋上へと繋がる外開きの扉から顔だけを出している女の子のこと目が合った。
「君は誰だい?」
「人の名前を訊ねるときは自分からって習わなかった?」
女の子は扉を閉め、僕のもとに近づいてきながら答える。制服を見る限り同級生だった。顔を見たことがない感じたクラスの子かな?僕の学校は上履きの色で学年を区別している。僕は目線を名前も知らない彼女の顔から青い空に移しながら答える。
「そんなことどうでもいいよ。僕にとってはもうどうだっていいんだから。」
「どうでもいいってどういう事?」
彼女は僕の隣に座ると不思議そうな顔で聞いてくる。
「こんな世界で生きてたって周りには馬鹿にされるだけだし、努力をしたところで実も結ばないし、もう生きてても意味なんかないんじゃないかなって。」
「ふーん……じゃあ君はこれから死ぬの?」
彼女は興味なさそうに僕に淡々と質問をしてくる。彼女の発言に一瞬言葉を失ったが、僕は彼女の放った『死ぬ』というワードに少しばかり惹かれてしまった
「そうか死ぬっていう選択もあったな。」
僕はそう小さく呟くと僕の隣に座ってた彼女が怪訝そうな顔で聞いてくる。
「ねぇ、なんで君は笑ってるの?」
「え?笑ってる?僕が?」
僕の問いに彼女は黙って頭を縦に振ると、いきなり立ち上がり僕の前に立った。
「なに?」
「死ぬなら私も一緒に死なせてくれる?」
彼女は僕の目を見ながら笑いながらそう発し、僕に手を差し伸べてきた。だが、彼女の目だけは笑っておらず死んだ魚の様な目をしていた。
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