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彼女の話を要約すると……
1.母親の浮気が原因で両親が離婚した。
2.父親に引き取られたが、なぜか離婚したころから父親からの性暴力が始まった。
3.両親が離婚したことが近隣の住民に知られ、同じクラスの男子からはからかわれ、女子からは陰湿な虐めが始まった。
彼女はこんな空気が重くなる出来事を機械のように淡々と話し始め、最後には小さい声で「笑っちゃうよね。私は何も悪いことしていないのに。」と発した。最後の言葉を発した時の彼女の顔はこの世界の全てに対して失望・絶望したような表情で今にも泣きそうな顔だった。
彼女の話を聞いていると僕の考えていた事はなんて小さくてしょうもないことだったのだろうと思ってしまった。そして気が付いたら僕は彼女の頭を撫でていた。彼女が驚くどころか僕自身も自分自身の無意識な行動に驚いていた。慌てて彼女の頭から手を離すと彼女は小さく笑みを零しながら口を開く。今までの笑顔と違い、心の底からの笑顔に見えた。
「君って思ってたより優しいんだね。」
「うるさい。……忘れろ。」
僕はなぜかいきなり恥ずかしくなって顔を付してしまった。彼女は身体を小さく震わせながらクスクスと笑っていた。
「いつまで笑ってるんだよ。」
「ごめんごめんっ。あーあ、それにしても君のせいで死ぬ気泣くなちゃったじゃん。」
彼女はいまだに笑いながらそう愚痴をこぼした。僕は反応に困ったのでとりあえず一言「僕の知ったことじゃないよ。」と言葉を放つ。
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