それは噛み合わないファスナーのよう

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今回彼が抜かしたのは私、ただ一人。 その言い方だったらまるで、その該当者って……私みたいに聞こえる。 えっ、私……? いやぁ、無い無い無い。 やだなぁ、私。 どんだけ自意識過剰!? 自分の考えに何だか急に恥ずかしくなる。 頭の中覗かれるわけでも無いのに、つい髪をいじりながら頭部を指で隠す。 「ごめん、えっと……よく、分かんないけど……頑張って?」 で、良いのかな? 「は?それってつまり、俺やっぱり今振られたって事?」 「え?振られたの?いつ?今?って、え?もしかして、相手にすっぽかされたってこと?」 「……」 「……」 暫し互いに見合う。 その間、瞬きをゆっくり三回。
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