それは噛み合わないファスナーのよう

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「……林って、もしかして馬鹿?」 バカ!?失礼な! と口に出る寸前で言葉を飲み込む。 そっか。 学年一位の彼には言い返せない、か。 「あのさ。俺さっきから林に告白してんの、分かってる?」 肩を落とす私に彼がゆっくりと話し掛ける。 その言葉をすぐには理解できなかった。 渡辺くんが、私に告白……。 告白……。 ん? 告白? 「え?ええっ!?私に?私に告白してたの!?」 思わず大声で聞き返す。 それが余程間抜けだったか。 彼の肩に入っていた力が抜けていくのが伝わる。 「何だよ、本当に分かんなかったのかよ?体良く断られてんのかとか色々考えたじゃん」 それはようやく噛み合ったファスナーのよう。
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