59人が本棚に入れています
本棚に追加
それはようやく噛み合ったファスナーのよう
「……で?返事は?」
「えっ?……ぇっと、告白って事は、その、付き合って欲しいって事?だよね。でも、私……。きっと、きっと一緒に居てもつまんないよ?」
「は?何それ。そんな事誰かに言われたの?」
「ううん違う。でも、きっと……。つまんないよ私なんか。真面目だけが取り柄だし」
だから付き合ってもすぐに私が振られてしまいそう。
「渡辺くんは、私なんかのどこが良いの?」
「え?そうだな、その馬鹿が付くくらいに真面目なとこ?それからたまに抜けてる激ニブなとこ。あと、すっごく可愛く笑うとこ。絶対に人の悪口言わないとことか、みんなの嫌がる事率先してやるとか、後輩とか関係なく部活の雑務こなすとこ。それから……まだ言った方が良い?」
「や……。恥ずかしいんで、もう良いです」
俯く私。
頼りにされる事は多くても、褒められ慣れてはいない。
「林……こっち見て。顔、上げて」
上目遣いに少しだけ彼を見る。
けど、それは三秒と持たずにまた足元に目が行く。
「俺と付き合ってくれる?」
最初のコメントを投稿しよう!