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「俺の事、嫌い?付き合うのは嫌だ?」
「きっ嫌いではない、し、嫌でも無い……けど」
でも、本当に私なんかで良いの?
二人の未来なんて予想出来ない。
自信ないし、不安ばかり。
「なら大丈夫だって。まずはほら、俺と手繋いで。で、返事、聞かせて」
彼の『大丈夫』の言葉はなぜか安心感を与えてくれる。
手を繋ぐのは、今まで恋したいとも思わなかった私にはさすがにハードル高すぎて恥ずかしいから無理だけど。
せめてここまで……と彼の制服の袖を少しだけ、つまんでみる。
頑張ったけど、彼の目と合ったのはほんの一瞬。
「……ご指導、よろしくお願いします」
だからこれが、今の私の精一杯。
「やばい。それ、滅茶苦茶可愛いって……」
彼の声の微かな震えに、私の頬は徐々に熱を帯び始めた。
了
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