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嶋先生は、私の手を離してからハンドルを握った。
「さて、帰りますか。……いや、だけどさ、ここまで嫌われるかなあ。でもなー、本当に好きなんだ」
「そ、そんなことを言われましても」
意識していた。嶋先生の行動の全てに敏感に反応していた。長い指先がハンドルを握るのも、少し開けた窓から入ってきた風にあおられて乱れた髪をかき上げたしぐさも正直言うと格好が良かった。
―――でも、悪いけど好きっていうのとは少しばかり違うなあ。イケメンではあるけどね……
そんな風に、少し上から目線でイケメンに告白された女として嶋先生を見ていた。
「写真だけでも撮らせてくれないか……あ~やっぱり、嫌われてるんじゃ無理か」
運転しながら、嶋先生が言う。
「写真?」
ーーー私の写真が欲しいの? 振られたのに? まあ、でもね、そこまで言うなら、どうしてもって言うなら、写真位ねぇ良いけど…
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