ときめきは止まりません

25/36
前へ
/256ページ
次へ
★★★ 「お口をゆすいで下さいね」 ピンク色エプロンの女性に言われて、倒れていた椅子が起こされた。 頬を押さえながら、起き上がる。 ーーー痛かったら、左手って言ったじゃん。手なんか上げても全然やめなかったじゃん! この嘘つき! 背中を向けてカルテに文字を書いている嶋医師を睨みつけてみた。 「見てないで、ゆすいで下さい。もう終わりですから」 「えっ!」 ーーーなんで睨んでたのがわかったの? 後ろ向いてるじゃん。 周りを見回しながら、恐る恐る紙コップを手にして口をゆすいだ。 ーーーあー、そっか。きっと水の音がしなかったからね。だからかぁ。
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3200人が本棚に入れています
本棚に追加