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「えっと、はい。まあ……」
緊張しすぎて頭がパニックに陥ったせいもあるが、風邪ではなく虫歯というのは、どうにも好ましくない返事のような気がしてならない。だから、思わず適当に合わせる返事をして、その場を誤魔化していた。
「そうなんだ? 無理しないでね?」
三宅さんが天使みたいに優しい笑顔を見せてきたから、思わずウットリしてしまっていた。
「はい、あの……ありがとうございます」
「いや、可愛い人の顔がマスクで見られないのは寂しいからね」
クスッと笑い顔を少し傾けて見つめてくる三宅さん。
三宅さんの隣にいて話のやり取りを聞いていた斉藤さんは、あきれたような顔を見せていた。
「朝から偉いな。お前は」
少しおちょくるように言ってから、三宅さんの肩を叩き先に歩いて行ってしまった。
斉藤さんがいようがいまいが、そんなことはどうでも良かった。ただ、ひとつ気になったのは、三宅さんが何気無く言った一言だ。
『可愛い人の顔が』とかなんとかって。
ーーー空耳ではないとすれば、可愛い人って! 私の事でしょうか?
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