ときめきは止まりません

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いきなり鼻を襲ったドブみたいな悪臭に両手で口と鼻を押さえる。 ーーーく、苦しい……しかし! 劇的にヤバイでしょう! この口! その場で犬が自分の尻尾を追うみたいにぐるぐると回り出していた。 ーーーこんな悪臭じゃあ、キスも……ううん、デートすら無理でしょう。嫌われるって絶対! 回り過ぎたせいで、めまいを感じて一度止まった。 よろめきながら窓際へ行き、開けることが不可能になっている窓をなんとかこじ開けようと窓枠に、爪を立てた。 ーーーだめだ。落ち着いて考えるのよ。考えれば必ず道は開くって、誰か言ってなかったっけ? 誰だっけ? そういう格言ぽいこと言うのは……。 ーーー違う。そんなの誰だっていいのよ。今は、このドブをなんとかしないと。 マスクを装着しなおして、あまりの悪臭に自分が発生源でありながらも頭痛を感じ両手で頭を抱えた。
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