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そして、真っ白な世界が崩壊していく。まるでガラスが割れるように、あちこちの空間が破片となって飛び散っていく。孝也に語り掛けていた女は背を見せ、手にした黄金の杖をかざしていた。
その向う側に、孝也は何かを感じ取ったが、それをうまく知覚できなかった。なにか、とてつもなく強大なものが迫ってきているように感じた。
同時に、孝也は奇妙な浮遊感を覚えた。
そして……
***
孝也が次に目を覚ました時。
彼の体は、巨大な鋼鉄へと生まれ変わっていた。なぜ、そうであるとわかったのか、その時はさっぱりわからなかった。
ただ、自分の体が何十メートルも巨大なものになっているということが感覚でわかった。
「な、なんじゃこりゃぁぁぁ!」
孝也は叫んだ。
だが、それでも孝也の体はピクリとも動かなかった。声を出したはずなのに周囲に響いている様子もなかった。
「ど、どうなってんだよおい」
困惑する中でも、孝也は自分の周囲の様子を探ることが出来た。まず、自分の背後の巨大な城が確認できる。ならば、ここは城下町ということだ。そして、どうやら自分はその広場のような場所で膝を着いている状態らしいのだ。
なんでそんなポーズを取っているのかはさっぱりわからない。自分は真っ白な空間の中にいて、そこでえらい別嬪の女の人と会話をして……そして、何かに襲われた。
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