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第二話 選ばれし勇者は君だ
孝也は唖然としていた。
自分の置かれた状況はいまいち理解できないが、とにかくとんでもないことだというのは確実である。
動くこともできずに、自分は放置されている。気が付けば大勢がいたはずの広間には映画やゲームで見たことのある鎧と槍を持った警備兵が四名ほど残っただけだった。
それ以外では、何やら自分をお地蔵様か何かの代わりみたいに拝んでくる住民がかわるがわるやってくるぐらいだ。
大半が老人、あとは好奇心旺盛な子どもぐらいだ。
「聞こえてねぇんだよなぁ」
で、やはり彼らにも孝也の声は聞こえていない様子なのだ。
試しに大声で叫んでも見たが、誰一人こちらに反応を示すものはいなかった。
「気が付けばロボットになっていただぁ?」
第一、なぜ自分はロボットになっているのか?
自分の元の体はどこに行ったのか?
そして、ここはどこなのか?
考えた所で、わかるはずもない。孝也が思い出せる最後の光景は真っ白な空間が崩壊していくさまだ。あの時、あの場所で一体何があったのかはわからない。何かとてつもない恐ろしいことが起きたのは間違いないのだろう。
だとすれば、その時に自分の身に何かがあったとしか言えない。
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