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ややして、背後の城から兵士たちが慌ただしく出動していく。その中には今朝、自分の前に立って何事かを叫んだり、祈ったりした戦士たちの姿もあった。
入れ替わるように逃げ出した住民たちが広場へと集まってくる。背後には城があり、ここが一種の避難場所となっているのだろう。
「でも、止められるのか?」
孝也の嫌な予感はまさしく的中していたといえる。我がもの顔で大地を突き進むモンスターに対して、兵士たちは果敢に挑んでいく。弓矢や大砲を放ち、時には魔法と思われる火球は氷の矢などが発射されているのが見えた。
投石器などの兵器も用意されてはいるが、どれもが通用しているようには見えなかった。
しかし、彼らの武器が効果をなす為にはかなりの距離まで、モンスターの接近を許すこととなった。気が付けば、モンスターは既に街に侵入しており、迎撃にむかっていた前線の兵士たちは容易に蹴散らされていた。
その状況を眺めるしかできない孝也は焦った。このままでは街は蹂躙される。それに、自分もただでは済まないのではないかという恐怖だった。
「もうあんなに近くまで来てやがる……! くそ、動けよ、俺の体!」
もはやがむしゃらであった。ロボットの体になったり、動かなくなったり、果ては意味の分からない怪物まで現れた。このまま何もできないまま、自分はどうなってしまうのか。
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