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「だ、ダメだろ!」
あの腕を、降ろさせてはいけない。
「動け、動けってんだよぉぉぉぉ!」
「助けて、勇者様!」
孝也と少女の叫び声が重なった。
刹那、眩い光がその場を包み込む。瞬間、光は、モンスターだけを弾き飛ばした。それは、雷鳴のように轟き、つき刺し、しかし太陽の光にもにて暖かな光であった。
(やれやれ、まさか、そんな女の子だったなんてね……)
その時、孝也はあの女の声を聞いた気がした。どこだと、声を上げ、探そうとしたが、次の瞬間、彼の足下から巨大な円形の魔法陣が展開される。その魔法陣はゆっくりと、上昇する。
魔法陣が体を通過する度に、全身に力が入る。まるで孝也の体を縛り付けていた鎖を溶かすかのようだった。
同時に孝也に膨大な『データ』が流れ込んでくる。それは、己の体の事、この力の事、そして何より、怯える少女を救う為の方法であった。
(契約は、なった。さぁ、目覚めろ……!)
女の声が終わらない内に、吹き飛ばされたモンスターがぐりぐりと首を蠢かしながら態勢を立て直していた。奴から感じられるのは敵意のみ。
「うおぉぉぉ!」
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