第二話 選ばれし勇者は君だ

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「だ、ダメだろ!」  あの腕を、降ろさせてはいけない。 「動け、動けってんだよぉぉぉぉ!」 「助けて、勇者様!」  孝也と少女の叫び声が重なった。  刹那、眩い光がその場を包み込む。瞬間、光は、モンスターだけを弾き飛ばした。それは、雷鳴のように轟き、つき刺し、しかし太陽の光にもにて暖かな光であった。 (やれやれ、まさか、そんな女の子だったなんてね……)  その時、孝也はあの女の声を聞いた気がした。どこだと、声を上げ、探そうとしたが、次の瞬間、彼の足下から巨大な円形の魔法陣が展開される。その魔法陣はゆっくりと、上昇する。  魔法陣が体を通過する度に、全身に力が入る。まるで孝也の体を縛り付けていた鎖を溶かすかのようだった。  同時に孝也に膨大な『データ』が流れ込んでくる。それは、己の体の事、この力の事、そして何より、怯える少女を救う為の方法であった。 (契約は、なった。さぁ、目覚めろ……!)  女の声が終わらない内に、吹き飛ばされたモンスターがぐりぐりと首を蠢かしながら態勢を立て直していた。奴から感じられるのは敵意のみ。 「うおぉぉぉ!」     
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