第二話 選ばれし勇者は君だ

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 即座にそれを理解した孝也は唸り声をあげながら、己のもう一つの体を飛び上がらせた。五十五メートルの巨体から頭部と胸部を構成するパーツがすっぽりと抜け出す。  それは一瞬にして、『戦闘機』へと変形した。 「おぉぉぉ!?」  体が小さくなった。かと思えば今度は戦闘機に変形した。何が何だかわからないが、とにかく、今この瞬間だけは、自分の体が自由に動かせることだけはわかった。  そして、この体での戦い方も、膨大なデータのおかげで不自由なく、理解できる。  機首にはバルカン砲がある。機体の両脇にはビームキャノン、ミサイルが搭載されている。  だが、今はそれを使わない。使ってはいけない。自分の近くにはまだ少女がいる。だったら、なすべき攻撃は一つ。 「リーンチェンジ!」  咄嗟に頭に浮かび上がった言葉を叫ぶ。その言葉をコールした瞬間、オフになっていたシステムが稼働していく。  刹那、戦闘機の機首が真下へと折れ曲がる。その中からは顔が現れた。両脇を構成するパーツは両腕に、エンジン及び尾翼を構成したパーツは両脚へと変形。  戦闘機から人型へと変形したのだ。人の形をしているのであれば、やることはただ一つ。拳を叩きこむだけだ。 「ぶっ飛べ!」     
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