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第一話 確かにそれはお約束
取り敢えず、真っ白な空間にいるとわかった時点で大井孝也は色々と悟った。
「や、ずいぶんと落ち着いてるね。いや、結構結構」
それでもって目の前に別嬪さんがいればそれはもうお約束といっても過言ではない状況だ。
真っ白なレースを一枚だけ羽織ったその女は、控えめに言っても美しい人だった。雪のように白い髪はこの真っ白な空間の中であっても光輝いているのがわかった。
美しい。孝也はそれ以上の感想を持ち合わせていなかった。
とにかく美人だった。
「先にいっておくけど、君は手違いで殺されたわけでもなければ、トラックに轢かれて死んだわけでもない。君はまさしく勇者の適正があったから、召喚されたんだ。いいね?」
彼女はそのことだけは強く、言い放った。
孝也もそれにコクコクと頷く。
「よろしい。それで、だ。実は時間がない。切羽詰まっている。だから要点だけをかいつまんで説明しよう」
曰く、その世界では古の神々が蘇り、世界を我がものとせんと動き出した。
曰く、それに嘆いた神が古き神々を討つべく勇者を求めた。その器として、孝也が選ばれたのだという。理由は勇者としての適性があったから。それ以上の理由は特になし。
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