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駅に着くなりその車両だけは乗っていた乗客が小さな扉に群がりながら他人を押し退け我先にと新鮮な空気と安全を求めなだれ込むように外に飛び出した。
その流れに足元がおぼつかず倒れ込む乗客に手を差し伸べる事も無く、踏みつけ蹴飛ばしながら、躓きまた倒れ込む。
その異様な光景に電車を待っていた人々は唖然とし、又は急いで動画の撮影を始める。
悲鳴とどよめきが辺りを包み込むと何人もの駅員が集まり事態を収拾しようとするが乗客の量が多すぎて 状況を把握する事も乗客を避難させる事も旨くいかない。
「ホームから離れて下さい! 駅員の指示に従い速やかにホームから離れて下さい! 撮影は止めて! 誘導にしたがって移動してください!」
その異様な混乱ぶりに緊急のアナウンスが流れると、階段付近に居た乗客が訳も分からないままホームから離れていく。
その波に従いながらゆっくりとではあるがホームにスペースが広がるとようやく数人の駅員が倒れ込み痛みで声を上げる乗客の側までたどり着く事ができた。
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