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うずくまりうめき声を上げる乗客や強引に押し出された事で足を捻り歩けない乗客
どこかにぶつけたのか、額から血を流しながらも呆然と立ち尽くす乗客に駅員たちも焦りを隠せずにいた。
「車内にも1人居るぞ!」
異常なまでの混乱ぶりに車内に残されうつ伏せで倒れる一人の男性の姿に駅員が大声を上げた。
「立てますか? ここは危険です。 痛いでしょうが移動しないと。」
軽傷そうな乗客を車両からはなるべく遠くに、ホームの隅に移動させると動けそうもない乗客を担架に乗せその場を離れる。
大都会とは違い、テロ対策がされていないこの街では一つのミスが命取りになる。
電車内に取り残され男性が死んでいる事を確認すると全車両の扉が閉まった。
最初に到着した救急と消防が怪我人を病院に運ぶ準備を進める。
次に着いた警察は状況の把握に躍起になるが混乱し溢れ返る人混みがその邪魔をしていた。
「突然人が倒れた 死んだ? 何の騒ぎ? テロ!? テロだって!!」
あっと言う間に話に尾びれが付くと恐怖に怯えた乗客たちがいっせいに駅から逃げ出して行く。
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