あ行

5/7
前へ
/93ページ
次へ
う やはり最初に浮かぶのはうさぎだ。 次に海。 うさぎと海で浮かぶのは、因幡の白兎だ。 なんで渡っている途中でペラペラ話しちゃうかなぁ、と思いながらも、わたしもきっとうさぎと同じように話しちゃうだろう。 計画通りにうまくいくと浮かれちゃうもの。 白兎の赤い目をみると、因幡の白兎を思いだす。 こいつも泣きすぎて赤目になったのかなって。 そして、騙されないぞ!と思う。 「お嬢さんお嬢さん、ちょっと私を抱いてみない?」 「まぁ可愛いうさぎさん、よいしょっと…ふわふわでクッションみたいね」 「ふふ、くすぐったいよ。お嬢さん、私を抱いて少し歩いてみない?」 「いいわね、うさぎさんを抱いてれば冬の寒さも関係ないわ。ちょっと一回り散歩しようかしら」 「しめしめ、もう少しで扉だぞ。もうこの兎園はうんざりしていたんだ。愚鈍そうな人間がこないかまちくたびれていたところだった。ちょうどいい人間がきてついてるぜ」 「ちょっとちょっとうさぎさん、心の声が駄々漏れよ。なんて酷いことを言うんでしょう!もう散歩なんか行かないわ。ここでさよならよ」 「うわぁまってぇ!」 ガシャン(扉が閉まる) うん、こんなことを考えているかもしれないから、白兎には気を付けねば。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加