2人が本棚に入れています
本棚に追加
う
やはり最初に浮かぶのはうさぎだ。
次に海。
うさぎと海で浮かぶのは、因幡の白兎だ。
なんで渡っている途中でペラペラ話しちゃうかなぁ、と思いながらも、わたしもきっとうさぎと同じように話しちゃうだろう。
計画通りにうまくいくと浮かれちゃうもの。
白兎の赤い目をみると、因幡の白兎を思いだす。
こいつも泣きすぎて赤目になったのかなって。
そして、騙されないぞ!と思う。
「お嬢さんお嬢さん、ちょっと私を抱いてみない?」
「まぁ可愛いうさぎさん、よいしょっと…ふわふわでクッションみたいね」
「ふふ、くすぐったいよ。お嬢さん、私を抱いて少し歩いてみない?」
「いいわね、うさぎさんを抱いてれば冬の寒さも関係ないわ。ちょっと一回り散歩しようかしら」
「しめしめ、もう少しで扉だぞ。もうこの兎園はうんざりしていたんだ。愚鈍そうな人間がこないかまちくたびれていたところだった。ちょうどいい人間がきてついてるぜ」
「ちょっとちょっとうさぎさん、心の声が駄々漏れよ。なんて酷いことを言うんでしょう!もう散歩なんか行かないわ。ここでさよならよ」
「うわぁまってぇ!」
ガシャン(扉が閉まる)
うん、こんなことを考えているかもしれないから、白兎には気を付けねば。
最初のコメントを投稿しよう!