古民家レストラン

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「『尿に溶けているシュウ酸カルシウム』がある濃度以上になることで結石になる。それは、シュウ酸カルシウムが水に溶けることを前提として、説明しているでしょう?」 獅々友は何も言えなかった。ただ、心の中で確かにと納得する。 「だから、医者の言っていることは間違っているわ。ずっとそのまま残り続けるなんて、化学を知らないのかしら」 「そうか、じゃあ時園は大丈夫なのか……」 獅々友はほっとして、椅子にもたれた。椅子はギィと音が鳴り、獅々友の丈夫そうな体躯(たいく)を支える。薬袋はそれを黙って眺め、それから身を乗り出すように机に両肘をついた。 「それで、答えたけど、私のために尽力してくれるのかしら」 薬袋の表情や声音からは、半ば期待していないような気配が(うかが)えた。しかし、獅々友はここ二日間、薬袋と話して、それとは異なるものを感じていた。 「もちろんです。必ず不起訴処分になるよう尽力します!」 確かに、相手を冷めて見る態度や投げやりで孤高であろうとする雰囲気がある。そのために、周囲にあまり関わりたくないと思わせるところがあるかもしれない。他にも、赤の他人なら、人に厳しく批判するような彼女の口ぶりに辟易(へきえき)したり、自分のことをあまり話さず何を考えているのかわからないと気味悪く感じたりするかもしれない。 でも、と獅々友は感じていた。 薬袋は助けてほしいと、叫んでいた。 ずっと。
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