バーンキャット

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『みっちー! 釈放されたんだって! かざむーから聞いたよ! よかった!』 そんな文言に、薬袋はどうしたものかと思案する。どう切り返すべきか。 『メッセージありがとう。無事、釈放された。心配かけて、ごめんなさいね』 『謝らないで、みっちーは悪くないんだから!』 『そうね。ありがとう、心配してくれて』 『親友だもん。そんなの当たり前』 えっへんという絵文字が添えられ、宇納が嬉しそうな顔をしている想像を薬袋はする。 次の返信内容を考えていると、また宇納からメッセージが来る。 『ところでさ、かざむーがみっちーと刑事さんにいろいろ聞かれたって聞いたけど、やっぱうちも疑われているんだよね?』 薬袋はどう返信すべきか考える。風村か宇納かそれとも二人ともなのか。いずれにせよ、犯人の可能性がある限り、下手なことは言えない。そして、それは向こうも同じ。本当に親友を心配しているなら電話するだろう状況に、あえてメッセージという手段を使っているのは、宇納が薬袋をまだ犯人だと考えているか、自分が犯人で墓穴を掘る可能性を減らすためか。そういろいろと薬袋は推測する。 『親友が犯人なんて真実だったら悲しいわね。そうでないことを祈っているわ』 『みっちー……うちのこと、信じてる?』 『もちろん』 『刑事さんは、うちのことどう思ってるんかな?』 『それは、私にもわからないわ。刑事さんの心の中、解剖(かいぼう)しないとね』 宇納は解剖が好きな変な奴だ。普通ではないのは大学一年からの付き合いの薬袋はよく知っている。毒を盛って人体実験することだってするかもしれない。 『はは、解剖しないとだよね』 『怖い親友ね』 『ちょっ、ひどい! 解剖言い出したの、みっちーじゃん』 『あら、そう言って本当は解剖したくてうずうずしてたりして?』 『さすがにないかなー』 『わざわざ、心配してくれてありがとう。怖くて優しい親友を持ててよかったわ』 『怖くてはよけーでしょ、よけー』 『あら、そうなの?』 『もう、みっちー意地悪なんだから』 『このやり取り、きりがないわ』 『はは、確かに』 じゃあ、そろそろ……。そう打って、返信しようとしたとき。 『それでさ、また話変わるんだけど、猫が燃える事件、聞いた?』 そう、宇納からメッセージが来た。
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