第1話「ある冬の日の夜」

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*** *** *** *** ***  こうして僕は、ある日突然現れたエルの"賢者の石探し"の道中に付き合うことになる。  これまで長く過ごしてきた小屋と、狩人としての生活を離れることに未練は無かった。  彼女が訪れる直前、読もうと思って叶わなかった本の内容だけは今でも少し気になるけれど―――  外の世界を見て回りたいという強い願望が実は自分にあったこと、そのきっかけを与えてくれたエルと一緒に旅をするというのは、とても魅力的な話だった。  これから二人で色々な冒険を経験し、その全てを覚えている訳では無いけれど、できる限り書き綴って行きたいと思う。  文章というものを書き慣れないので、なかなか疲れる。今回は、このあたりで一区切りしよう。  あと便宜上、この手記にも名前を付けておいた方が良いかもしれない。  あまり捻ったり洒落たものは思いつかないが…  そうだな… とりあえず、「エルとグレン」としておこう。                  *** *** *** *** *** ――――第1話「ある冬の日の夜」おわり
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