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僕自身にしてみれば、こうして自力で歩いたり喋ったりしているから、ただ単に事故に遭って気を失っただけで、運よく命が助かったとしか思えない。でも皆が口を揃えるのは、「事故に遭って死んだ僕は、一千年の時を越えて生き返った」というものだ。僕の《遺体》の入った蘇生装置が《発掘》されたのだという。
どうしてそんな境遇に置かれることになったのか、僕にも全然分からない。別に、天の声が聞こえただとか、魂が抜けて浮上していく夢を見ただとか、そういったお決まりの臨死体験もないのに、自分が死んだ実感なんて持ちようがなかった。
あまりにも唐突に突きつけられた事実を、完全に飲み込めているかといえば、たぶん出来ていないと思う。しかし、僕がどんなに否定しようとも、デロリアンやタイムトンネルのような装置は存在しないならば、水面輝くセントローレンス河を望むあの家にはもう戻ることはないだろう。
見知らぬ場所、見知らぬ人々、見知らぬ時代――ここで生きていく覚悟を決めるとき、それが今日この時だ。
「当時の記録を照会した結果、正確な死亡日は――つまり医者の宣告ね――2016年9月11日となっていたわ。恐らく半年ほど昏睡状態で病床にいたんでしょう。徒に時が過ぎるのを待つよりも、ご両親は未来の可能性に賭けた……さすがにここまで未来だとは予想しなかったでしょうけど。
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