2:New kid in town

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「長話はこれでおしまいだ。座りっぱなしも疲れるだろうし、僕の工房を見せてあげよう。言って説明するよりも理解が早いだろうから。おや? お友達が見当たらないねえ」  気が付いたらアレックスの姿がどこにも無い。途中で飽きて別の部屋に行ったんだろうか。 「どこ行ったんだろ。おーい、アレックス!」  すると、廊下の向こうからアレックスの小さな顔がひょっこり覗いた。頭の上に埃玉を乗っけて、手には薄汚れたステッキが握られている。彼は物置の中を勝手に探っていた。 「こんなのみつけたよ! ずっとしまってあったからダニエルが使ったらいいんじゃない?」  性懲りも無く了解を取らないままで、遊び道具を手に入れてきたような得意顔。今度ばかりは僕も呆れるしかない。 「あのさあ……よその家で部屋を漁るなんて失礼じゃないか。さっきから無軌道ばっかりやって、これじゃあ一緒にいてなんてとても言えないよ」  僕が語気を強めてもアレックスはどこ吹く風で居間からの死角に引っ込んだ。そして荒らされている張本人もまたのんびりと構えている。 「まあまあ、僕としては一向に構わないけどねえ。あの杖は前の家主が置いていったものだから、ダニエル君の役に立つなら持っていくといいよ」 「そういう問題じゃなくて、アレックスは礼儀とかが根本的に抜けてて――」     
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