Act 1: Everybody wants to be a cat

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 散々お荷物扱いされた末に、べりべりとガムテープの封が解かれたのは、最上階(地下三〇ヤード)である受付前のロビーだった。あくまで人間の都合のいいように造ってあるので、電光掲示板で順番待ちの表示をしたり、受付嬢が金勘定をしていたり。呼び出しの放送がせわしなく名前を告げたりと、ぱっと見は銀行の支店のような内装になっているが、もちろん利用するのはフェアリーばかり。動物っぽかったり、植物っぽかったりするのもいれば、何やらいろんなのが混ざった姿のものもいる。共通するのはわいわいがやがやととにかく騒がしいところ。ちなみに元人間もこっちの管轄なので、フロントに車のスピード違反で罰金を払うTシャツ吸血鬼が見えた。  だるそうな係員が不要になった梱包材を持って行き、僕は一緒に捕まった仲間をきょろきょろと探す。今日はハロウィンの翌日だから、僕と同じく羽目を外し過ぎた輩でごったがえしていて、伸び放題のソテツに乗らないと自分の位置が分からない位だ。……植物の状態が悪い会社は潰れるって聞いたけど、大丈夫なのか妖精管理局。     
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