Act 1: Everybody wants to be a cat

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 ガイ・フォークス・デイとは僕がハロウィンと同じくらい楽しみにしているお祭りだ。当日の夜はみんなで一斉に花火を打ち上げて中世の政治テロリストを罵ったり祀り上げたりする、ロンドンにおける最大の火祭りだ。というのも、国会議事堂を爆破する計画してたのがばれて彼自身は処刑されたが、この国家の一大事を忘れないために始まったとのことだ。そんな背景は置いといて、とにかく花火が好きなだけ爆発させられるのが僕にとって一番の魅力だ。ちなみにアイルランドではハロウィンの日に花火大会を行うが、ロンドンではガイ・フォークス・デイと一緒くたにされたようだ。  この日のために一杯買い溜めておいたんだから。それなのに…… 「では本日の取り調べは終了だ。しばらく大人しく過ごす様に」 「あっ、ちょっと待って……むぎゅっ」  二度と顔も見たくないと言いたそうなディクソン氏は、抵抗するタイミングを逃した僕を無理やり段ボールに押し込める。潰れた帽子を直している間にガムテープで光の漏れる隙間もなくがっちり蓋を閉じてしまった。外がどうなっているのか分からないまま、僕の入っている箱は無造作に投げられたり長時間放置されたりしながら管理局本部の上層部へと運ばれていった。
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