Act 1: Everybody wants to be a cat

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 あまりにうるさいのでルークが口を挟むと、赤い服を着た一人が僕よりもさらに小さいのに負けじと怒鳴り返してきた。 「若造が知った口をきくな! わしらの商売にけち付ける気かい」 「だったらジイさんは若者の手本になる振る舞いしろよ」  売り言葉に買い言葉、こんなところでけんかっ早い小人を相手にしたらすぐ取っ組み合いになって即座に管理官に捕まってしまう。なるべく穏便に収めないと僕にまでとばっちりが降りかかる。そこにタイミング良くリフトのドアが開き、 「あ、ちょうど来たんでお先にどーぞー」  僕は魔法を使って彼らを浮かすと、ゴンドラの中にぽんぽんまとめて投げ入れる。そしてすぐさま扉を閉めて浴びせられる怒号を完全にシャットアウトした。僕らはまた順番待ちをすることになったが、地上に出る間険悪な空気を吸い続けるよりはましだ。一方のルークは気に食わない小人たちを締め上げないと済まないようで、しまったドアにがしがしと爪を立てている。ルークはパーソナルエリアを乱されるのが何よりも嫌いなのだ。 「けっ、年食ったら偉そうな態度できんのかよ……」  えらく苛立っていてどうしたらいいのか僕が迷っていると、ぐぅっ、とルークの胃袋が食べ物を求めて呻き声をあげる。間の悪い腹の音に一瞬でルークの怒りも収まった。     
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