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「ついでにもう一人やっちまえ。おい、ちょっと探してこいよ」
リーダーらしい悪魔マスクは悪びれることもなく、仲間を顎で使って新しい獲物を探そうとしている。
こいつら、ハロウィンにかこつけて盗みを働く不届き者に違いない。仮装は犯罪者の顔を隠すためにあるんじゃないのに。どうせ中身は小物揃いの不良グループなんだろうけど、度が過ぎるやんちゃは見過ごすわけにはいかないな。
僕はこういう輩が大嫌いだ。みんながハッピーになるお祭りの日を台無しにするなんて、絶対にやっちゃいけない――よし、決めた。今夜のイタズラはちょっときつめにしてやろう。まずは手始めに、あいつらの目の前に飛び出してやる。迷信深い連中はこれだけでも随分驚くものだ。
僕はひょいと物陰から通りの反対側まで一足飛びに横切った。すると効果はてきめん、一番図体のでかい人造人間が情けない悲鳴を上げてやおら怖がり始めた。
「うひゃっ! く、黒猫……!」
「ああん? ……なんだ、ただの猫だろが。ビビってんじゃねえよ」
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