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と、ワンテンポ遅れて無様に寝ていたリーダー格が目を覚ます。転んだ拍子にマスクが脱げており、露わになった不細工なニキビ面は見捨てた仲間に対する怒りで一瞬のうちに紅潮した。よろよろと起き上がって、巨人ゴリアテの如く僕の前に立ち塞がった――ただし、その手に持つのは大槍ではなくちゃちな安物のナイフ。
「ぶっ殺してやる、化けネコめ!」
初撃は大振りの前蹴り。大きな体格の分勢いを増し、その腰の位置にも届かない僕の頭部めがけてまっすぐ飛んでくる。だが、怒りに任せた攻撃など避けるのは簡単だ。
「遅いよっと!」
得意のムーンウォークで少し身を引くだけで、スパイク付きブーツはあっさりと空を蹴った。彼の足元に飛び込んで軸足をステッキで殴ると、容易くバランスを崩してどすんと転倒する。こうやってヤケになった人間をからかうのは何よりも面白い。
すっ転ばせた後は、如何に体格差があると言えど主導権は完全に僕のものになった。手始めに、魔法でナイフをスープ用スプーンに、仮装をやぼったい横縞囚人服に変えて、見た目的に屈辱的な格好にしてやる。まるでどこかの塀を乗り越えてきたみたいで、このまま放っといても誰かが警察に連絡してくれるはずだ。
リーダー格はこれでさらに激昂したらしく、なりふり構わず四つん這いになってでも僕を捕まえようと躍起になった。
「この野郎!」
「ほらほら、そんなんじゃかすりもしないよ?」
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