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Side N
なぁ千晃。
俺は絶対にまたお前と出会える自信があったよ。
まさかこんな形でとは思わなかったけどね。
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彼女がグループを卒業してから1年後、行きつけのジムで見覚えのある姿を見かけた。
あの背中を見間違えることなんてない。
何度見ても飽きることなんてなかった小さくて華奢な背中。
彼女が振り返ったとき、彼女の瞳に自分が映った気がした。
気のせいなんかじゃない。
なのに彼女は何事もなかったかのように準備を整えて出て行く。
その後を慌てて追いかけた。
西「ちあき」
立ち止まった彼女は静かにゆっくりと振り返った。
まるで気づかないふりを諦めたかのように。
千「にっしー!久しぶり」
白々しくまさに今気づいたかのような仕草で笑っている。
それについて言及しようか迷ったが、あえてその嘘に騙されることにした。
どこまでいっても自分は彼女に甘い。
西「ひさしぶり」
この笑顔を真正面から見るのは一年ぶりだ。
そうだ、もう一年も見ていなかったのだ。
西「元気にしてた?」
千「うん」
西「赤ちゃん、おめでとう」
そういえばまだ言えていなかった。
メールすら送っていない。
彼女がグループを抜けた時から一切連絡を取っていない。
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