数え切れないほどの薔薇の花束を

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他のメンバーもきっと同じだろう。 仲はいいグループだったが個人的な要件で連絡を取るほどではない。 特に自分はそうだ。 卒業してからそれぞれが複雑な思いを抱えていたし、単純に彼女が卒業してから全員が忙しい。 でも子どもが生まれた時は流石に個人的にお祝いのメールを送ったりなんかはしていたのかもしれない。 自分は生まれたことすらスタッフを通じて知った。 彼女と直接連絡を取ることはおろか共通の知人もいないし、メンバー間でもそういった話題は上がらなかった。 マネージャーも何も言わなくて、スタッフが立ち話しているのをたまたま耳にしただけだ。 千「ありがとう。 にっしーは相変わらず忙しそうだね。 今はライブの準備?」 西「ん、まぁそんなとこ」 千「そっか。 頑張ってね、応援してる。」 昔なら「あんまり頑張りすぎないでね、にっしーは無理するから」なんて言ってくれていたその唇が今は他人事のように自分を応援している。 その唇を塞いでやりたくなる。 もちろんそんなことはできるはずもないけど。 千「じゃあもう行くね。 、、、みんなにもよろしく。」 最後の一言をためらいながら、小さな声でそっと空気にのせるように呟いた彼女。 西「ん、帰り気をつけて」 自分もあっさり見送った。     
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