数え切れないほどの薔薇の花束を

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驚いてパチパチと瞬きをするその目はまるで子どもみたいだ。 そして一瞬強く目を閉じた後まっすぐこちらを見つめてくる。 千「今さら何言っても嘘にしか聞こえないだろうけど。 私はね、結婚しようって言ってくれたら、したかったんだよ、にっしーと。 一緒になろうってにっしーに言って欲しかった。」 西「っ!」 言葉に詰まって唇を強く噛み締めた。 俺だって言いたかったよ。 それが出来る立場なら。出来る環境なら。 そんなの言い訳だけど。 全てを背負って、自分たちを支えて来てくれた人を裏切ってでも彼女を幸せにする覚悟なんて持てなかった。 そんなに彼女のことを愛していなかったとかそんな話じゃない。 裏切ることなんてできなかったっていう良心からでもない。 自分がただ弱くて決断力がなかっただけ。 それでも、純粋に彼女を想っていた。 西「ちあき。 俺生まれ変わってもお前に出会いたいよ。 今度は別の形で。 どんな形でもいいから次出会えたら絶対に幸せにする。」 千「ふふっ。 期待しないで待ってる。」 西「期待なんてしなくてもさ。 俺たちならどうせ来世でもまた会えるでしょ。」 千「ほんとロマンチスト。」
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