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第四章 芹沢みやび
芹沢みやびは14歳で逃げ出す様に児童施設を飛び出した。その後、夜の世界を彷徨い小さいが町外れに自分のクラブを持った。みやび自信の美しさもあってか店は流行り、食うには困らないくらいにはなっていた。しかし、みやびには暴力癖があり、よく店の女の子を殴り女の子が続かなかった。店の客にも掴みかり警察沙汰にも良くなっていた。刑事課の蛭田元志は毎度、顔を見せるみやびに呆れていた。
「懲りないな、あんた…」
「うっさいわね!ジジイ!!」みやびは蛭田の言葉を打ち払った。
「私にかかわんじゃねぇよ!!」みやびは蛭田に釘を刺した。
「じゃあ2度とするなよ…」蛭田は一瞬鋭い目で釘を刺すとみやびを帰そうとした。
「蛭田さんいいんですか?こいつ常習でしょう?」若い同僚の佐村翔が口を挟んだが、
「いいんだよ…」とだけ言うと席を立った。蛭田がみやびと初めて会ったのは、みやびがまだクラブを持つ前で勤め先で暴力事件を起こした時からで、もうかれこれ10年以上の付き合いだった。みやびは取調室から出ようとした時、
「また、顔出しな!」と、かなり上から蛭田に声をかけた。蛭田は苦笑して、みやびを右手で追い払った。
「偉そうな女だ」佐村は嫌悪感丸出しで言った。蛭田は佐村の言葉に反応せず自分のデスクへ向かった。
「ママ大丈夫だった?」みやびが店に帰ると民子が心配そうに声をかけた。
「ガキに心配されてるようじゃ、私もヤキがまわったね!」民子の頭を叩くと
「さあ、店の準備しな!」みやびは手を叩き他の女の子達を煽った。島野民子が学校に秘密で芹沢みやびの店で働く様になったのは民子が高2になってすぐの事だった。早朝はコンビニ、夕方から夜間は飲食店で働いていた民子だったが、夜のバイトの帰り偶然、民子は同じ児童施設出身者の芹沢みやびを見つけた。
「お姉ちゃん!!こんなとこで何してるの!!」急に駆け寄ってきた若い女の子に一瞬怯みながら
「ああ?!…あんた、民子かい?大きくなったねぇ!」この日のみやびは酔っていた。みやびは民子の顔を一頻り品定めすると
「あんた、仕事は?」
「してるよ?バイトだけど?」急な質問に民子が答えると
「うちに来るかい?…ちょうど探してたのよ!」みやびは民子の顔に近づき言うと
「酒くさ!なんの仕事?」民子は引きぎみに聞いた。
「サービス業だよ!ただの!…いいお金に成るよ!」みやびは演技混じりで胸に手をあてお辞儀して見せた。
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