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「ただいま」
「おかえりなさい。今日は早かったのですね」
家に帰ったら返事があることに未だに慣れない。彼女がこの家に置かれてから一週間も経たったというのに。
「ああ、水曜日は定時退社日なんだよ。だからこれからも水曜日は帰りが早いと思う」
「そうなんですね。てっきりいつも通りの時間に帰るものと……あ、すぐにお夕飯を用意しますから、先にお風呂へ入ってはいかがですか?」
「そうだね。うん、そうさせてもらうよ」
ふう、やっぱり緊張するな。相手が女の子というだけでどうにもやり辛い。
いや、女の子と言っていいのか? だって彼女は……
「すみません。洗濯したバスタオルを戻し忘れていました」
突然脱衣所の扉が開いた。そして俺は、真っ裸だった。
「ちょ、うわ、見ないで~!」
慌てる俺を前に、彼女はくすりと笑った。
「そんなに気にしないでも大丈夫ですよ。私は人間ではありませんし、この姿には実態すらありませんから」
そう言ってバスタオルを洗濯籠に掛けて、何事もなかったかのように部屋を出て行った。
気にするな、か。そう言われても……いや、たしかに彼女の言う通りなのだけど。
彼女に名前は無い。強いて言えばAIナンバー567である。そう、彼女はAIだ。アンドロイドでも人形でも、ましてや生身の女性などでは決してない。
俺はこの一週間、AIロボットと暮らしていた。
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