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そして、そのテスターの一人として俺が選ばれた。
理由は簡単。系列会社に勤めていて、家事をやる暇がない独身で、何か危険なことがあっても大丈夫そうな男性。そんな適当な候補の中からたまたま俺含め数人の被験者が選ばれた。
ロボットの仕様やらを開発陣から前もって色々と説明されたものの、正直タダで最新家事ロボットがうちに置かれるぐらいしか頭に残らなかった。
説明が暑苦しく、細かすぎたためにほとんど聞き逃していたのだ。……いや、そんな消音機能のための苦労話とかパーツの話されてもわからんし。俺はただの事務員だから。
だから初めてコロナが女の子の姿になった時、正確には女の子のホログラムを投影した時は本当に驚いた。急いで片付けを始めてしまった。家事ロボットが来たはずなのに、だ。
「あの、その片付けをお手伝いさせていただけないでしょうか? 私は汎用型家事ロボットです。掃除に関しましても掃き掃除、拭き掃除、整理整頓まで業務可能ですので、よろしければ一緒に片付けさせていただけませんか?」
「あ、そ、そうですよね。ししし、失礼しました!」
そんなどうしようもない反応をした俺を見て、くすりと笑うだけで片付けを手伝い始めてくれた。
本当は全て任せてしまっても大丈夫なのだろうが、できれば女性に見られたくない類の本なんかもあったのでその日だけは一緒に掃除をした。
高性能なロボットだと聞いていたので、むしろ自分が掃除の邪魔になっているんじゃないかと思い、彼女に聞いてみたところ、
「私もまだこの部屋に慣れていないですし、どんな風に整頓されているのが良いのか知りたいですからとても助かっています。それに、あなたと一緒に掃除ができて楽しいですから」
笑顔と共に向けられたその言葉は、俺の心を完璧に撃ち抜いた。うん、もう膝から崩れ落ちた。
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