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「コロナ、ただいま」 「おかえりなさい。夕飯とお風呂、どちらになさいますか?」 「夕飯の準備ができてるなら、先に食べようかな」 「はい。今日はカレーですよ。ちょっと本格派を目指してみました」  どうりで良い香りが漂っている訳だ。食卓についてすぐに焼き立てのナンとサフランライス、そしてチキンカレーが用意された。 「おお、予想以上に本格的だ……」 「この前お好きだとおっしゃられていましたので」  カレーを食べた時の話か。あの時はコロナの家庭的なカレーを食べながら、本格インドカレーの素晴らしさをつい熱弁してしまった。  ちょっとむくれながら次はインドカレーに挑戦しますと言っていたが、本当に作ってしまうとは……この香りの素晴らしさ、食べるまでもなく最高の味だと確信できてしまう。  せっかくのカレーだ。冷める前に食べねば。 「いただきます」  二人揃って食べ始める。もちろん、実際に食べているのは俺一人で、コロナはカレーを食べてる映像なのだが。 「うん、美味しい!」 「そうですか……良かったです。カレーにはこだわりがあるようでしたので、今回は少々心配でした」  休日はよくカレー屋巡りをするぐらいカレーは好きだが、このカレーはそんな俺の舌を唸らせるほどの美味しさだった。最近はどこの飲食店も料理ロボットに作らせているという噂だったが、家庭用ロボットでもこの味を作り出せるならそれも納得だ。 「おかわりもありますのでたくさん食べてくださいね」  最近実感したことだが、誰かと一緒に食べることに勝る調味料はないらしい。それも、好きな人の最高の笑顔と一緒だったら、それだけで食欲が倍増する。  ……ダイエットは流石に一人でやるしかないかな。
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