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 コロナがこの家に来てから早三週間。会話もさすがに慣れてきた。  部屋は片付いているし、毎日きちんと着る物がある。前は洗濯をサボって着る服がなくなる日もあった。ゴミ捨ても毎回出しているようで、ゴミ袋が部屋の隅に転がっていることもない。  何よりも嬉しいのは、毎日ちゃんとした食事が食べられることである。  朝は菓子パン、昼は会社の不味い食堂、夜は外食がほとんどだった。昼飯は今も変わらないが(コロナはお弁当も作ると言うのだが、一人暮らしなのに毎日手作り弁当だと彼女持ちだと誤解されかねないから遠慮した)朝と晩に温かい手作りご飯が食べられる。  食生活が整うだけでここまで体調が良くなるとは驚いた。  しかし豪華過ぎではないか? そう思って買い物の明細を見せてもらったが、なんとコロナが来る前より食費が安く済んでいた。 「無駄のない自炊をしますと結構安く抑えられますから」  たしかに、一人の時は自炊をしても結構無駄が出ていた。食材が余ったり、作ったおかずが美味しくなくて結局腐らせてしまったり…… 「よろしければ、一週間で食材を使い切る料理パターンをいくつかご紹介しましょうか? 私がここを離れても、あなたには健康でいて欲しいですから」  数日前からコロナはそういった家事のコツを教えようとしてくれる。そう、彼女はいつまでもここにいてくれる訳ではない。  あと一週間と少しでコロナが来てから一ヶ月。そしてそれは、テスト期間の終わりでもあった。
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