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「へえ~、本当に重曹って便利なんだな」
「ええ。世の中色んな洗剤が売っていますが、案外重曹さえストックしておけばほとんど代用できます。もちろん料理にも使えます」
こびりついていたシンクの水垢が簡単に消えた。そもそも、これが水垢という名前だとついさっきコロナに教えてもらったばかりだが。
あの日からコロナとの思い出を作ろうと奮起したが、なぜか家事を教えてもらう日々が続いていた。
なにせコロナは家事ロボットだ。そのため基本的に家から出られない仕様となっていた。思い出作りも必然、家の中となる。
そしてつい忘れがちだが、コロナの実態は箱型のロボットで、作業はその身体からアームを伸ばして行っているのだ。
いくら見た目が女性だからといって頭を撫でようものなら、手がホログラムを貫通して空を切るだけだった。ちょっとグロかった。
気を利かせて格好良く思い出作りをしたかったが、結局すぐにコロナ本人に何がしたいのか聞く羽目になった。
そして、コロナの望みが一緒に家事をすることだった。
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